嘱託産業医の1日・1か月の流れ。訪問日に何をするか

嘱託産業医の訪問日の流れ。面談・職場巡視・衛生委員会の2時間
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目次

嘱託産業医の1日・1か月の流れ。訪問日に何をするか

こんにちは。産業医の角田拓実です。

今回は「嘱託産業医は、訪問日に何をしているのか」について解説していきます。

嘱託産業医は、月1回〜隔月1回ほど事業場を訪問する非常勤の産業医です。業務の種類は知っていても、実際の訪問日がどう進むのかはイメージしにくいと思います。

私はいま約30社を担当し、週3日を産業医の仕事にあてています。この記事では、その訪問日の流れと、1か月・1年の仕事の回り方をお伝えします。

Dr.瑛理

2時間の訪問って、実際には何から始めるんですか?

角田拓実

よくある形は、面談・巡視・衛生委員会の三つです。順番に見ていきましょう。

訪問日2時間のよくある流れ

2時間の訪問は面談1時間、職場巡視30分、衛生委員会30分がよくある形。面談が少ない日は人事や経営者と打ち合わせ

私の担当先で多いのは、面談1時間、職場巡視30分、衛生委員会30分という2時間の流れです。

時間の目安やること
1時間面談(長時間労働、休職・復職、健康相談など)
30分職場巡視
30分衛生委員会への出席

ただ、この形はあくまで目安です。面談が少ない日は、その時間で人事の方や経営者の方と打ち合わせをすることもあります。

訪問の時間で何をどれだけできるかは、事業場の人数とのバランスで決まります。50人の事業場なら1時間でなんとかなることもありますが、200人を30分で見るのは難しいです。

嘱託の働き方そのもの(メリット・デメリット・待遇)は、こちらの記事にまとめています。

面談:0人の日もあれば5人の日もある

訪問日の面談は0人から5人ほど。休職・復職の面談、長時間労働の面接指導、健康相談の3種類

1回の訪問で面談する人数は、0人の日もあれば、5人ほど対応する日もあります。企業が何を大事にしているか、どこが足りないかを見ながら調整しています。

面談には大きく分けて次のようなものがあります。

  • 休職・復職の面談:本人の今後に関わる、とても大事な面談
  • 長時間労働の面接指導:時間外・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる人が申し出たときに行う(労働安全衛生規則第52条の2・第52条の3)
  • 健康相談:職場でのトラブルの相談や、健康診断で異常が見つかった人への対応など

長時間労働の面接指導は法令で決められているので、確実に対応します。休職・復職の面談は、本人と会社の両方にとって大事な場面です。

ストレスチェックの後の面接指導の進め方は、こちらで詳しく解説しています。

職場巡視と衛生委員会は、事業場に合わせて組み立てる

巡視は毎月1回(条件付きで2か月に1回)。基本は毎回するが、全体は1年や年2回の計画で回る。衛生委員会は毎回の所も半期に1回の所もある

職場巡視は毎回、ただし全部を回るとは限らない

産業医は、少なくとも毎月1回、作業場などを巡視することになっています。事業者から衛生管理者の巡視結果などの情報を毎月受け取り、事業者の同意がある場合は、2か月に1回にできます(労働安全衛生規則第15条)。

私は巡視を基本的に毎回するようにしています。ただ、事業所の規模によりますが毎回すべてのエリアを回るわけではありません。「1年かけて事業場全体を回る」「年2回は全体を回る」といった計画を立てて、少しずつ回ります。

1回の巡視は10分から30分ほどで、事業場によってばらばらです。限られた時間の中で、どう生かすかを考えています。

衛生委員会は、出られる形を調整する

衛生委員会は毎月1回以上開くことになっていて、産業医は委員の一人です(労働安全衛生法第18条、労働安全衛生規則第23条)。

実際に毎回出席するかは、事業場の方針と与えられた時間によります。毎回出席できるところもあれば、半期に1回のところもあります。

ただ、まったく出ないと会社の状況が分からなくなります。私はなるべく参加するように調整し、出たときは何かしらコメントを残すようにしています。よい衛生委員会になるよう工夫するのも、産業医の役割だと考えています。

Dr.瑛理

巡視も委員会も、毎回同じことをするわけではないんですね。

角田拓実

はい。事業場の求めることと時間の中で、何を優先するかを決めるのが嘱託の腕の見せどころです。

訪問の前と後:仕事はできるだけ訪問時間内に終わらせる

報告書や意見書を持ち帰ると担当社数が増えたときに回らない。訪問中に資料を確認し、意見書も時間内に仕上げる

残業時間や健康診断の結果は、訪問中に、面談の前後で確認することが多いです。健診結果を先に送ってもらって対応することもあります。

私が大事にしているのは、仕事をなるべく訪問時間の中で終わらせることです。面談の後の報告書や意見書も、できればその時間内に仕上げます。

健康診断で異常の所見があった人については、事業者が医師の意見を聴くことになっています(労働安全衛生法第66条の4)。この意見も、できるだけ訪問の中で返します。

判断に悩む事例は、帰宅後に対応することもあります。それでも、時間内に終わらせる意識を持っておくと、事業場を増やしても回るようになります。

1か月・1年の流れと、訪問日以外の仕事

毎月は面談・巡視・衛生委員会、年1〜2回の健診結果の判定、ストレスチェックの後は面接指導が増える。訪問日以外の対応はめったになく別途いただくことが多い

1年の流れは、企業によってばらばらです。そのうえで、多くの事業場で次のような山があります。

  • 健康診断の結果の判定:年に1〜2回
  • ストレスチェックの後:面接指導が増える。春や秋が多いが、事業場による
  • 毎月:面談・職場巡視・衛生委員会

健診の判定やストレスチェックの面接指導は、スポットで単発の依頼が来ることもあります。

訪問日以外の仕事はめったにない

メールでの相談や急な対応、オンラインの面談は、1社あたりで見るとめったにありません。年に1回あるかどうかです。担当先が多いと全体では増えますが、私の場合は報酬に含めず、別途いただくことが多いです。

担当先の半分くらいでは、何かしらオンラインを挟んでいます。それでも基本は訪問で、オンラインは例外的な対応と考えています。

1日に何社回るか

1日に3〜4社回ることもある。近くの事業場をまとめる。東京は回りやすく、地方は移動に時間がかかる

1日に3社、4社と回ることもあります。1社ごとの対応時間を短くしたり、近くの事業場をまとめたりして組み立てています。午前に1社、午後に1社という日もあります。

回れる数には地域性があります。東京は事業場が多いので回りやすい一方、地方では移動に時間がかかり、たくさんは回れません。

案件を増やすときは、近くの事業場を増やすと1日に回れる数が増えます。求人を見るときは、距離と報酬、人数と時間のバランスをあわせて見ておきましょう。

角田拓実

訪問の時間で仕事を終わらせる習慣がつくと、担当社数を増やしても無理なく回ります。

登録先を先に見ておきたい方は、以下の3社から始められます(広告)。どこも登録は無料で、産業医の求人も扱っています。求人は会社ごとに違うので、2〜3社に登録しておくと案件を比べやすくなります。希望の働き方は事実どおりに選んでください。

まとめ

今回は嘱託産業医の1日・1か月の流れに関して紹介を行いました。

  • 2時間の訪問なら、面談1時間・職場巡視30分・衛生委員会30分がよくある形
  • 面談は0人の日も5人の日もある。休職・復職と長時間労働の面接指導は特に大事
  • 巡視は基本毎回。全体は1年や半年の計画で回る。衛生委員会はなるべく出てコメントを残す
  • 報告書や意見書は、できるだけ訪問時間内に終わらせる
  • 1年の山は健診結果の判定とストレスチェックの後。訪問日以外の対応はめったにない
  • 1日に3〜4社回ることもある。近くの事業場を増やすと回りやすい

訪問日の流れが分かると、求人を見たときに「この時間で何ができるか」を考えられるようになります。

角田拓実

以上、「嘱託産業医の1日・1か月の流れ」についてまとめました。訪問時間の中で仕事を終わらせる組み立て方を意識しておくことをオススメします。

これから登録先を選ぶ先生は、こちらの記事も参考にしてください。

参考にした一次資料(2026年10月確認)

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この記事を書いた人

産業医の角田拓実です。医局で多忙な業務をこなす中で自分の時間を確保できる働き方を求めて産業医に転向。コネクションも業務経験もない状態から嘱託産業医を始め、株式会社豊田自動織機の専属産業医を経て、現在は株式会社サンポチャートを設立し、東海地方を中心に50事業所以上の職場健康管理に関わっています。このサイトでは、産業医になりたい医師が最初の1社目に出会うまでの手順と、紹介会社・働き方の比較を実体験から書いています。
資格:日本医師会認定産業医/博士(医学)/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/健康経営エキスパートアドバイザー
著書:『40代から始めるあなたの予防医学』(自由国民社)、『図解入門ビジネス 職場メンタルヘルスの基本と対応がよくわかる本』(秀和システム新社)

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