ストレスチェック面接指導のスポット産業医という始め方。未経験から経験を積む入口

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目次

ストレスチェック面接指導のスポット産業医という始め方。未経験から経験を積む入口

こんにちは。産業医の角田拓実です。

今回は「ストレスチェック後の面接指導を、スポットで受けるという始め方」について解説していきます。

産業医の仕事を始めたいけれど、いきなり嘱託契約を結ぶのは不安、という先生は多いと思います。

そんな先生にとって、面接指導の単発案件は最初の実務経験を積む入口になります。1件30分ほどで、事前準備をきちんとすれば未経験でも受けられる仕事です。

ただし、準備をせずに受けると「30分で何を話せばいいのか分からない」となり、次から呼ばれなくなることもあります。この記事では、依頼の来方から準備の仕方までをまとめます。

Dr.瑛理

面接指導って、産業医の経験がなくても受けていいものなんですか?

角田拓実

受けられます。むしろ経験の浅い先生の挑戦に向いている仕事です。ただし、準備の有無で結果がはっきり分かれます。

ストレスチェック後の面接指導とは

ストレスチェックで高ストレスと判定され、本人が希望した場合に、事業者は医師による面接指導を行います。

面接指導を担当する医師は、本人の状況を聞き取り、就業上の配慮が必要かどうかについて事業者に意見を述べる役割を担います。

制度の細かい要件や様式は厚生労働省の資料で確認してください。この記事では、現場でどう受けてどう進めるかに絞って書きます。

面接指導は、その会社の産業医が行うことが多いのですが、産業医がいない事業場や、産業医の手が回らない場合には外部の医師に単発で依頼されます。ここがスポット案件の出どころです。

なお、ストレスチェックの義務は小規模な事業場にも広がることが決まっており、2028年4月から実施されます。産業医がいない小規模事業場が対象に入るため、外部の医師が面接指導を担う場面はこれから確実に増えていきます。

角田拓実

産業医がいない会社ほど、外部の医師に頼らざるを得ません。ここに未経験の先生が入る余地があります。

スポットの依頼はどこから来るか

私の経験では、産業医として仕事をしていると、「スポットで面接指導をしてほしい」という依頼はしばしば来ます

ルートはひとつではありません。

  • 企業から直接:産業医がいない、または産業医の予定が合わない事業場からの依頼
  • 紹介会社経由:登録している紹介会社が、単発の面接指導案件として紹介してくる
  • ストレスチェックの実施機関経由:実施機関が面接指導の医師を探している場合
  • 知人や同業からの声かけ:手が回らない先生からの依頼

いろいろなルートから話が来やすい仕事です。逆に言うと、登録先や人のつながりを持っていないと、依頼が届く経路がありません。

未経験の先生がまず作れる経路は、紹介会社への登録です。登録時に「面接指導のスポット案件も受けたい」と伝えておくと、担当者が案件を回しやすくなります。

Dr.瑛理

紹介会社に登録するとき、スポットも受けたいと言っておけばいいんですね。

1件30分。当日の進め方は依頼元のマニュアルに従う

面接指導は、1件あたりおおよそ30分です。私は1件ずつ受けることが多いです。

当日の流れは、依頼してくる企業や実施機関によって変わります。企業や実施機関を通して受ける場合は、たいていしっかりしたマニュアルが用意されているので、それを参照しながら進めれば大丈夫です。

大まかには、次の順で進みます。

  • 本人の状況の聞き取り:仕事の内容、負荷、睡眠や体調、困っていること
  • ストレスの背景の整理:業務量、人間関係、生活面のどれが大きいか
  • 本人への助言:受診が必要か、生活面で調整できることは何か
  • 事業者への意見:就業上の配慮が必要か、必要ならどの程度か

30分は長いようで短いです。最後に「事業者へ何を伝えるか」に落とし込むことを意識しておくと、話が散らばりません。

角田拓実

最終的にどこに着地させるかを先に決めておくと、30分がきれいに収まります。

事前に集めておくと楽になる資料

依頼を受けたら、当日までに次の資料をもらっておくと、面接がスムーズに終わります。

  • 本人のストレスチェック結果:どの項目が高いかを事前に把握する
  • 企業の情報:業種、規模、本人の所属部署と業務内容
  • 残業時間:直近の時間外労働の状況。長時間労働との関係を見る
  • 本人の希望:面接で相談したいことがあれば事前に

特に残業時間は必ず確認してください。ストレスの背景が業務量にある場合、事業者への意見の中身が変わります。

資料がそろっていれば、30分のうち聞き取りにかける時間を減らし、本人への助言と事業者への意見に時間を使えます。

Dr.瑛理

事前に残業時間まで見ておくんですね。当日いきなり聞くより、話が早そうです。

準備不足だと、次から呼ばれなくなる

面接指導は経験の浅い先生の挑戦に向いている一方で、はっきりした落とし穴があります。

何も勉強せず、頭の中でシミュレーションもせずに受けると、「30分で何を話せばいいのか」「どんな段取りで進めるのか」「最終的にどこに落とし込むのか」が分からなくなります

その結果、企業や事業者から「この先生はちょっと…」と思われ、2回目以降は呼ばれなくなることがあります。

面接指導は1回きりで評価されます。初回で信頼を得られなければ、その会社からの依頼はそこで終わります。

実際に慣れない先生が多いのは、メンタルヘルス不調の方への対応です。普段の診察と違い、自分の診療領域の外にある話を扱うことになります。

だからこそ、本や実施マニュアルで学びながら、一件ごとにしっかり対応していくことが必須になります。診療科が違うから受けられない、ということではありません。

対策は難しくありません。

  • 面接指導の進め方を本で一度通して読む
  • 30分の流れを、聞き取りから意見の落とし込みまで頭の中で通しでシミュレーションする
  • 事業者への意見の書き方を、様式を見ながら確認しておく
  • 依頼元のマニュアルがあれば、当日までに読み込む

練習と段取りの知識さえあれば、未経験でも十分に務まります。逆に、この準備を飛ばして受けるのがいちばん危険です。

角田拓実

経験がないこと自体は問題になりません。準備をしていないことが問題になります。

うまくいけば、リピートと産業医就任につながる

逆に、面接指導をきちんとこなせると、そこから道が開けます。

「また次もお願いします」というリピートが来ますし、産業医がいない事業場からは「今後は産業医としてお願いできませんか」と声がかかることもあります。

面接指導は、企業にとって「この先生は現場で信頼できるか」を短時間で見る機会でもあります。ここで信頼を得ることが、そのまま次の仕事につながります。

スポット案件をうまく活用することは、1社目の壁を越えるうえで非常に重要です。嘱託契約より先に、面接指導で実務の経験と信頼を積む、という順番があります。

ストレスチェックの面接指導は、これからどんどん増えていく仕事です。準備をして、最初の1件に挑戦してみてください。

Dr.瑛理

まずスポットで信頼を作ってから、産業医の話につなげるんですね。順番が見えてきました。

受ける前に決めておく三つのこと

スポット案件は単発なので、受けるかどうかの判断を毎回迫られます。あらかじめ次の三つを決めておくと、依頼が来たときに迷いません。

対応できる地域と曜日

面接指導はオンラインで行われることが多いですが、対面で行うこともあります。、移動時間がそのまま負担になります。無理なく通える範囲と、動ける曜日・時間帯を先に決めておきます。

紹介会社に登録するときに、この条件をそのまま伝えておくと、合わない案件が来なくなることが多いです。

1日に受ける件数の上限

1件30分でも、慣れないストレスチェック面接指導の場合は、聞き取りと意見のまとめには集中力を使います。慣れないうちは1日に受ける件数を少なめに決めておくと、1件ごとの質を保てます。

事業者への意見をどう書くか

面接指導の結果は、事業者に意見として伝えます。就業上の配慮が必要かどうか、必要ならどの程度か、を簡潔に書きます。

様式や書き方は厚生労働省の実施マニュアルに例があります。初回の前に一度目を通し、自分の言葉で書けるようにしておいてください。

角田拓実

地域、件数、意見の書き方。この三つを決めておくだけで、初回の不安はかなり減ります。

スポットの面接指導に関するよくある疑問

産業医の資格がなくても受けられますか?

受けられます。面接指導を行うのは医師であればよく、産業医以外の医師が担当することも認められています。

ただし、産業医の資格を持っていたほうが、職場の健康管理や就業上の措置についてのベースの知識がある分、話の組み立てが楽になります。資格がない場合は、準備の段階で本を1冊読んで基本を押さえておいてください。

初回はどのくらい準備すればいいですか?

本を1冊通して読み、30分の流れを頭の中で2〜3回通しでシミュレーションしておけば、初回は乗り切れます。

依頼元のマニュアルがあれば、それを最優先で読み込んでください。企業ごとに様式や流れが違うので、一般論より現場の手順が役に立ちます。

1件だけ受けて終わりになりませんか?

初回で信頼を得られれば、同じ事業者からのリピートや、産業医就任の相談につながります。1件目を丁寧にやることが、次の依頼への最短ルートです。

Dr.瑛理

資格より準備なんですね。最初の1件を丁寧にやります。

スポット案件をどう見つけるか

最初の1件は、紹介会社への登録から始めるのが現実的です。登録時に面接指導の単発案件も受けたいと伝え、対応できる地域と曜日を明確にしておきます。

複数の紹介会社に登録しておくと、案件が届く経路が増えます。連絡の実際と断り方は別の記事にまとめています。

まとめ

今回はストレスチェック面接指導をスポットで受けるという始め方に関して紹介を行いました。

依頼は企業直接、紹介会社、実施機関など複数のルートから来ます。1件30分で、当日の進め方は依頼元のマニュアルに従います。

事前にストレスチェック結果、企業情報、残業時間をもらっておくと、30分を助言と意見に使えます。

準備不足は次から呼ばれない原因になります。本と頭の中のシミュレーションで、聞き取りから意見の落とし込みまでを通しておきましょう。

うまくこなせば、リピートや産業医就任につながります。未経験の先生にとって、最初の実務経験を積む入口として非常に良い仕事です。

角田拓実

以上、「面接指導のスポット産業医という始め方」についてまとめました。準備をして、最初の1件から信頼を作っていきましょう。

嘱託産業医として本格的に始めるときの働き方は、こちらの記事にまとめています。

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この記事を書いた人

産業医の角田拓実です。医局で多忙な業務をこなす中で自分の時間を確保できる働き方を求めて産業医に転向。コネクションも業務経験もない状態から嘱託産業医を始め、株式会社豊田自動織機の専属産業医を経て、現在は株式会社サンポチャートを設立し、東海地方を中心に50事業所以上の職場健康管理に関わっています。このサイトでは、産業医になりたい医師が最初の1社目に出会うまでの手順と、紹介会社・働き方の比較を実体験から書いています。
資格:日本医師会認定産業医/博士(医学)/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/健康経営エキスパートアドバイザー
著書:『40代から始めるあなたの予防医学』(自由国民社)、『図解入門ビジネス 職場メンタルヘルスの基本と対応がよくわかる本』(秀和システム新社)

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