専属(常勤)産業医の求人の探し方。見つけ方と選考で聞かれたこと
こんにちは。産業医の角田拓実です。
今回は専属(常勤)の産業医の求人の探し方と、選考の実際について解説していきます。
専属の産業医は、1つの企業に常勤で勤める働き方です。まとまった時間働けて収入も安定するので、嘱託より専属を考える先生もいると思います。
ただ、専属の求人は嘱託ほど多くありません。どこで見つけて、選考で何を聞かれるのかが分かりにくい働き方です。
私は製造業の大企業で専属の産業医を経験しました。この記事では、そのときの見つけ方と、面接で聞かれたことを中心にまとめます。
Dr.瑛理専属の産業医に興味があるんですが、求人はどこで探せばいいんでしょうか?



嘱託とは探し方が少し違います。私が専属の話を受けたときの流れからお話しします。
専属(常勤)の産業医求人はなぜ少ないのか


専属の産業医が必要なのは、常時1,000人以上の労働者がいる事業場と、一定の有害業務に常時500人以上が従事する事業場です。
50人以上の事業場の多くは嘱託の産業医と契約するので、専属を置く事業場は、それに比べてずっと少なくなります。求人の数が限られるのはこのためです。



専属は数が少ないぶん、1件ごとの話をしっかり見極めることが大事です。


私が専属の話を受けたのは、人材紹介会社の関係のサイトから


私が製造業の大企業の専属の話を受けたのは、ある人材紹介会社の関係のサイト経由でした。自分から企業に応募したのではなく、依頼を受けた形です。
そのころ、私は嘱託の産業医を5〜6件担当していました。嘱託で積んだ経験があったことが、専属の話につながったと思います。
当時の私は、専属で安定して稼ぐ必要もありました。経験を積むうえでも、ちょうどよい機会だったと思っています。
専属の求人は、医師向けの求人サイトや紹介会社に常勤の案件として出てきます。登録するときは、「専属(常勤)も考えている」と必ず伝えてください。担当者に聞かれることもあると思いますが、産業医は嘱託をするのが普通という前提で話が進みます。専属を考えている人自体が少ないので、伝えておけば、専属の案件が見つかったときに「まずこの先生に相談しよう」となると思います。
どの会社から登録するかは、紹介会社おすすめ比較の記事に順番をまとめています。



嘱託の経験を積んでから専属の話が来たんですね。



そうです。嘱託で場数を踏んでおくと、専属の選考でも話せることが増えます。


登録したあとも、定期的に伝えておく
登録して終わりにしないことも大切です。私の経験では、産業医専門でない紹介会社には、いつも案件があるわけではありません。連絡が2か月に1回程度ということもありました。
専属の案件は嘱託より数が少ないので、「専属も考えています」と定期的に伝えておきましょう。医師のアルバイトと併用しながら使うのがよいと思います。
担当者に伝える一言で、回ってくる案件が変わることもあります。私が未経験のころは、「まず1社目を経験したい」と伝えると、経験者が敬遠する条件の案件を回してもらえることがありました。希望をはっきり伝えることは、専属でも同じだと思います。
専属に入るのに、どのくらいの経験が要るか
何も経験がないと、専属には入りにくいのが事実です。これは仕方がありません。何事も、経験している人のほうが入りやすいと思います。私も産業医を始めたころは、大企業の案件で面接まで行っても、経験で切られることが普通にありました。
ただし、大ベテランでないと入れないわけではありません。ベテランを入れたい会社もかなりありますが、企業によっては、かなりご年配の先生より、少し若手の先生を選ぶことがあります。
そうした企業は、長く働いてほしいと考えています。あと5年働ける先生と、あと20年働ける先生なら、20年の先生が選ばれる可能性は比較的高いと思います。経験を積みきっていなくても、ある程度の素養があれば十分採用されると思います。
入りにくくても、最初から専属を目指す道はあります。臨床を経ずに産業医になる先生には、まず専属で1〜2年しっかり修行することをおすすめしています。研修に近い経験ができるからです。可能であれば、研修中に紹介会社へ登録しておくと段取りがしやすくなります。詳しくは直産の記事にまとめています。
研修中にできる準備は、夏休みの集中講座で資格を取ることと、研修が終わる時期に合わせて専属の求人を探す段取りです。


選考は一次と二次の2回。聞かれたこと


面接は一次と二次の2回でした。聞いてきたのは、その会社にいた産業医の先生です。
面接で聞かれたこと
- なぜ産業医をやっているのか
- 3管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)とは何か
- 産業保健に関わる法律を知っているか
- 産業医として何を大事にしているか
志望の理由に加えて、産業保健の基本的な知識を確かめる質問が少しありました。
一般の社員の面接よりは、ゆるい印象
一般的な社員の面接に比べると、ゆるいと感じます。それでも、なぜ産業医なのかと、基本の知識は自分の言葉で話せるようにしておく必要があります。



結果として合格しましたが、知識を聞かれる場面はありました。準備しておくと落ち着いて答えられます。
面接の前に整理しておくこと
聞いてくるのは産業医の先生です。私が聞かれた4つをもとに、準備しておきたいことを整理します。
- なぜ産業医をやっているのか:きっかけと、これからも続けたい理由を自分の言葉で話せるようにする。嘱託の経験があれば、その場面を一つ用意しておく
- 3管理:作業環境管理(職場の環境を測って改善する)、作業管理(作業の方法や時間を見直す)、健康管理(健診や面談で働く人の健康を見る)を、それぞれ説明できるようにする
- 法律:労働安全衛生法と労働安全衛生規則の基本。健康診断、長時間労働者の面接指導、ストレスチェックなど、産業医が関わるところから確かめる
- 何を大事にしているか:正解があるわけではないので、実際の場面と一緒に話せるようにしておく
ここに書いたのは私が聞かれた範囲です。質問は企業によって変わると思うので、求人の業種に合わせて準備を足してください。



聞いてくるのが産業医の先生だと、緊張しそうです。



なぜ産業医なのかは、嘱託での場面を一つ思い出しておくと話しやすくなります。


専属を選ぶ前に考えておきたいこと


私が専属を選んだ理由と、離れた理由の両方をお伝えします。応募の前に、自分に合うかを考える材料にしてください。
| 嘱託(非常勤) | 専属(常勤) | |
|---|---|---|
| 働き方 | 月1回〜隔月1回ほど訪問する | 毎日出勤する |
| 収入 | 始めのうちはばらばらで安定しない | まとまった時間働けて安定する |
| フォローアップ | 訪問の日に限られる | 決めた頻度どおりにできる |
| 人間関係 | ドライに情報を提供する立場 | 社員として振る舞い、密になりやすい |
専属を選んだ理由
- まとまった時間働けて、収入が安定する(嘱託は最初、収入がばらばらで安定しない)
- 毎日従業員と話し、フォローアップを決めた頻度どおりにできるので、トレーニングになる
- 病院勤めのように、1つの職場にしっかりコミットできる
専属を離れた理由
専属は社員として振る舞う必要があり、人間関係が密になりやすい働き方です。嘱託のようにドライに情報を提供する立場とは違い、会社員特有の気遣いが増えます。私は専属を1年半経験したあと離れて嘱託に戻り、いまは独立して約30社を担当しています。



安定とトレーニングの良さがある一方で、人間関係が密になるんですね。
専属の求人に応募する前に確かめること


専属は数が少ないぶん、1件ごとの条件をよく見て応募したいところです。正直に言うと、私自身は条件を比べて選んだわけではなく、チャンスがあったので飛び込みました。そのうえで、実際に働いて分かったことから、次の点は先に確かめておくのがおすすめです。
- 今の嘱託の契約をどうするか:専属は嘱託との兼務が基本的に認められない
- 勤務地と通勤:工場などに毎日通う。嘱託のように訪問の日だけではない
- 1日の業務の量:面談が多い日は10人ほどになることもあった
- 社内でどう振る舞うか:社員としての立場になり、人間関係が密になりやすい
このほか、週の勤務日数や雇用の形も求人によって違います。待遇や働き方の詳しいところは、専属の働き方の記事にまとめています。



迷ったら、嘱託で経験を積みながら専属の話を待つのも一つの方法です。私もそうでした。


専属(常勤)の求人を探すなら、以下の3社から始められます(広告)。どこも登録は無料です。求人は会社ごとに違うので、2〜3社に登録しておくと比べやすくなります。希望の働き方は事実どおりに選んでください。
まとめ
今回は専属(常勤)の産業医の求人の探し方と、選考の実際に関して紹介を行いました。
- 専属が必要なのは常時1,000人以上(一定の有害業務では500人以上)の事業場で、求人の数は限られる
- 私は嘱託を5〜6件担当していたころ、人材紹介会社の関係のサイト経由で専属の話を受けた
- 面接は一次・二次の2回。なぜ産業医か、3管理、法律、何を大事にするかを聞かれた
- 経験があるほど入りやすいが、企業によっては少し若手の先生を選ぶこともある
- 応募の前に、嘱託の契約の扱い、勤務地、業務の量、社内での立場を確かめる



以上、「専属産業医の求人の探し方」についてまとめました。なぜ産業医なのかを言葉にして、面接の準備をしておくことをオススメします。
私が産業医を始めてから専属を経験するまでの流れは、こちらの体験談にまとめています。










