専属(常勤)産業医の求人の探し方。見つけ方と選考で聞かれたこと

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目次

専属(常勤)産業医の求人の探し方。見つけ方と選考で聞かれたこと

こんにちは。産業医の角田拓実です。

今回は専属(常勤)の産業医の求人の探し方と、選考の実際について解説していきます。

専属の産業医は、1つの企業に常勤で勤める働き方です。まとまった時間働けて収入も安定するので、嘱託より専属を考える先生もいると思います。

ただ、専属の求人は嘱託ほど多くありません。どこで見つけて、選考で何を聞かれるのかが分かりにくい働き方です。

私は製造業の大企業で専属の産業医を経験しました。この記事では、そのときの見つけ方と、面接で聞かれたことを中心にまとめます。

Dr.瑛理

専属の産業医に興味があるんですが、求人はどこで探せばいいんでしょうか?

角田拓実

嘱託とは探し方が少し違います。私が専属の話を受けたときの流れからお話しします。

専属(常勤)の産業医求人はなぜ少ないのか

専属が必要なのは常時1,000人以上(一定の有害業務では500人以上)の事業場で、50人以上の多くは嘱託と契約するため求人が少ないと示す

専属の産業医が必要なのは、常時1,000人以上の労働者がいる事業場と、一定の有害業務に常時500人以上が従事する事業場です。

根拠:労働安全衛生規則 第13条(e-Gov法令検索)

50人以上の事業場の多くは嘱託の産業医と契約するので、専属を置く事業場は、それに比べてずっと少なくなります。求人の数が限られるのはこのためです。

専属は、勤める職場に常駐するのが基本です。嘱託との兼務は基本的に認められていません。例外は、下請など労働衛生管理を一体で行う事業場で、通達の要件をすべて満たす場合に限られます(平成9年基発第214号、令和3年基発0331第5号で改正)。関係のない会社の嘱託を続けたまま専属に入ることは基本的にできないので、嘱託の契約を持っている先生は、応募の前に扱いを決めておきましょう。

角田拓実

専属は数が少ないぶん、1件ごとの話をしっかり見極めることが大事です。

私が専属の話を受けたのは、人材紹介会社の関係のサイトから

嘱託を5〜6件担当していたころ人材紹介会社の関係のサイト経由で専属の依頼を受けたこと、専属も考えていると伝え複数登録することを示す

私が製造業の大企業の専属の話を受けたのは、ある人材紹介会社の関係のサイト経由でした。自分から企業に応募したのではなく、依頼を受けた形です。

そのころ、私は嘱託の産業医を5〜6件担当していました。嘱託で積んだ経験があったことが、専属の話につながったと思います。

当時の私は、専属で安定して稼ぐ必要もありました。経験を積むうえでも、ちょうどよい機会だったと思っています。

専属の求人は、医師向けの求人サイトや紹介会社に常勤の案件として出てきます。登録するときは、「専属(常勤)も考えている」と必ず伝えてください。担当者に聞かれることもあると思いますが、産業医は嘱託をするのが普通という前提で話が進みます。専属を考えている人自体が少ないので、伝えておけば、専属の案件が見つかったときに「まずこの先生に相談しよう」となると思います。

紹介会社は1社に絞らず、複数に登録しておくと、限られた専属の案件に出会える機会が増えます。

どの会社から登録するかは、紹介会社おすすめ比較の記事に順番をまとめています。

Dr.瑛理

嘱託の経験を積んでから専属の話が来たんですね。

角田拓実

そうです。嘱託で場数を踏んでおくと、専属の選考でも話せることが増えます。

登録したあとも、定期的に伝えておく

登録して終わりにしないことも大切です。私の経験では、産業医専門でない紹介会社には、いつも案件があるわけではありません。連絡が2か月に1回程度ということもありました。

専属の案件は嘱託より数が少ないので、「専属も考えています」と定期的に伝えておきましょう。医師のアルバイトと併用しながら使うのがよいと思います。

担当者に伝える一言で、回ってくる案件が変わることもあります。私が未経験のころは、「まず1社目を経験したい」と伝えると、経験者が敬遠する条件の案件を回してもらえることがありました。希望をはっきり伝えることは、専属でも同じだと思います。

専属に入るのに、どのくらいの経験が要るか

何も経験がないと、専属には入りにくいのが事実です。これは仕方がありません。何事も、経験している人のほうが入りやすいと思います。私も産業医を始めたころは、大企業の案件で面接まで行っても、経験で切られることが普通にありました。

ただし、大ベテランでないと入れないわけではありません。ベテランを入れたい会社もかなりありますが、企業によっては、かなりご年配の先生より、少し若手の先生を選ぶことがあります。

そうした企業は、長く働いてほしいと考えています。あと5年働ける先生と、あと20年働ける先生なら、20年の先生が選ばれる可能性は比較的高いと思います。経験を積みきっていなくても、ある程度の素養があれば十分採用されると思います。

入りにくくても、最初から専属を目指す道はあります。臨床を経ずに産業医になる先生には、まず専属で1〜2年しっかり修行することをおすすめしています。研修に近い経験ができるからです。可能であれば、研修中に紹介会社へ登録しておくと段取りがしやすくなります。詳しくは直産の記事にまとめています。

研修中にできる準備は、夏休みの集中講座で資格を取ることと、研修が終わる時期に合わせて専属の求人を探す段取りです。

選考は一次と二次の2回。聞かれたこと

専属の面接は一次と二次の2回で、その会社の産業医から、なぜ産業医か・3管理・法律・何を大事にするかを聞かれたと示す

面接は一次と二次の2回でした。聞いてきたのは、その会社にいた産業医の先生です。

面接で聞かれたこと

  • なぜ産業医をやっているのか
  • 3管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)とは何か
  • 産業保健に関わる法律を知っているか
  • 産業医として何を大事にしているか

志望の理由に加えて、産業保健の基本的な知識を確かめる質問が少しありました。

一般の社員の面接よりは、ゆるい印象

一般的な社員の面接に比べると、ゆるいと感じます。それでも、なぜ産業医なのかと、基本の知識は自分の言葉で話せるようにしておく必要があります。

3管理や、労働安全衛生法などの基本は、面接の前に整理しておきましょう。嘱託の経験があれば、具体的な場面と結びつけて話せます。

角田拓実

結果として合格しましたが、知識を聞かれる場面はありました。準備しておくと落ち着いて答えられます。

面接の前に整理しておくこと

聞いてくるのは産業医の先生です。私が聞かれた4つをもとに、準備しておきたいことを整理します。

  • なぜ産業医をやっているのか:きっかけと、これからも続けたい理由を自分の言葉で話せるようにする。嘱託の経験があれば、その場面を一つ用意しておく
  • 3管理:作業環境管理(職場の環境を測って改善する)、作業管理(作業の方法や時間を見直す)、健康管理(健診や面談で働く人の健康を見る)を、それぞれ説明できるようにする
  • 法律:労働安全衛生法と労働安全衛生規則の基本。健康診断、長時間労働者の面接指導、ストレスチェックなど、産業医が関わるところから確かめる
  • 何を大事にしているか:正解があるわけではないので、実際の場面と一緒に話せるようにしておく

ここに書いたのは私が聞かれた範囲です。質問は企業によって変わると思うので、求人の業種に合わせて準備を足してください。

Dr.瑛理

聞いてくるのが産業医の先生だと、緊張しそうです。

角田拓実

なぜ産業医なのかは、嘱託での場面を一つ思い出しておくと話しやすくなります。

専属を選ぶ前に考えておきたいこと

嘱託と専属を働き方・収入・フォローアップ・人間関係で対比し、専属を選んだ理由は安定とトレーニング、離れた理由は気遣いの増加と示す

私が専属を選んだ理由と、離れた理由の両方をお伝えします。応募の前に、自分に合うかを考える材料にしてください。

嘱託(非常勤)専属(常勤)
働き方月1回〜隔月1回ほど訪問する毎日出勤する
収入始めのうちはばらばらで安定しないまとまった時間働けて安定する
フォローアップ訪問の日に限られる決めた頻度どおりにできる
人間関係ドライに情報を提供する立場社員として振る舞い、密になりやすい

表は、私が両方を経験した実感です。企業や契約によって違うことがあります。

専属を選んだ理由

  • まとまった時間働けて、収入が安定する(嘱託は最初、収入がばらばらで安定しない)
  • 毎日従業員と話し、フォローアップを決めた頻度どおりにできるので、トレーニングになる
  • 病院勤めのように、1つの職場にしっかりコミットできる

専属を離れた理由

専属は社員として振る舞う必要があり、人間関係が密になりやすい働き方です。嘱託のようにドライに情報を提供する立場とは違い、会社員特有の気遣いが増えます。私は専属を1年半経験したあと離れて嘱託に戻り、いまは独立して約30社を担当しています。

専属の1日は、朝の出勤、午前の面談、午後の巡視や衛生委員会、健診結果の処理と書類作り、という流れでした。詳しい働き方は、こちらにまとめています。

Dr.瑛理

安定とトレーニングの良さがある一方で、人間関係が密になるんですね。

専属の求人に応募する前に確かめること

専属に応募する前に、嘱託の契約の扱い・勤務地と通勤・1日の業務の量・社内での振る舞いの4つを確かめ、迷ったら嘱託で経験を積む道もあると示す

専属は数が少ないぶん、1件ごとの条件をよく見て応募したいところです。正直に言うと、私自身は条件を比べて選んだわけではなく、チャンスがあったので飛び込みました。そのうえで、実際に働いて分かったことから、次の点は先に確かめておくのがおすすめです。

  • 今の嘱託の契約をどうするか:専属は嘱託との兼務が基本的に認められない
  • 勤務地と通勤:工場などに毎日通う。嘱託のように訪問の日だけではない
  • 1日の業務の量:面談が多い日は10人ほどになることもあった
  • 社内でどう振る舞うか:社員としての立場になり、人間関係が密になりやすい

このほか、週の勤務日数や雇用の形も求人によって違います。待遇や働き方の詳しいところは、専属の働き方の記事にまとめています。

専属は合う先生にとってはとても良い経験になります。条件と自分の働き方の希望を照らし合わせて選んでください。

角田拓実

迷ったら、嘱託で経験を積みながら専属の話を待つのも一つの方法です。私もそうでした。

専属(常勤)の求人を探すなら、以下の3社から始められます(広告)。どこも登録は無料です。求人は会社ごとに違うので、2〜3社に登録しておくと比べやすくなります。希望の働き方は事実どおりに選んでください。

まとめ

今回は専属(常勤)の産業医の求人の探し方と、選考の実際に関して紹介を行いました。

  • 専属が必要なのは常時1,000人以上(一定の有害業務では500人以上)の事業場で、求人の数は限られる
  • 私は嘱託を5〜6件担当していたころ、人材紹介会社の関係のサイト経由で専属の話を受けた
  • 面接は一次・二次の2回。なぜ産業医か、3管理、法律、何を大事にするかを聞かれた
  • 経験があるほど入りやすいが、企業によっては少し若手の先生を選ぶこともある
  • 応募の前に、嘱託の契約の扱い、勤務地、業務の量、社内での立場を確かめる

専属の話は数が少ないので、紹介会社に「専属も考えている」と伝え、嘱託で経験を積みながら待つのが現実的です。

角田拓実

以上、「専属産業医の求人の探し方」についてまとめました。なぜ産業医なのかを言葉にして、面接の準備をしておくことをオススメします。

私が産業医を始めてから専属を経験するまでの流れは、こちらの体験談にまとめています。

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この記事を書いた人

産業医の角田拓実です。医局で多忙な業務をこなす中で自分の時間を確保できる働き方を求めて産業医に転向。コネクションも業務経験もない状態から嘱託産業医を始め、株式会社豊田自動織機の専属産業医を経て、現在は株式会社サンポチャートを設立し、東海地方を中心に50事業所以上の職場健康管理に関わっています。このサイトでは、産業医になりたい医師が最初の1社目に出会うまでの手順と、紹介会社・働き方の比較を実体験から書いています。
資格:日本医師会認定産業医/博士(医学)/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/健康経営エキスパートアドバイザー
著書:『40代から始めるあなたの予防医学』(自由国民社)、『図解入門ビジネス 職場メンタルヘルスの基本と対応がよくわかる本』(秀和システム新社)

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