労働衛生コンサルタント口述試験の対策。試験官が見るものと準備の順番
こんにちは。産業医の角田拓実です。
今回は「労働衛生コンサルタント口述試験の対策」について解説していきます。
筆記を越えても、最後に口述試験が残ります。一人では練習しにくく、何を準備すればいいのか分かりにくい試験です。
私も労働衛生コンサルタントの口述試験を突破しました。いまは受験する先生たちの口述の練習会にも関わっています。
先に結論をいうと、口述試験で見られるのは暗記の量より、自分の現場を説明できるかです。
Dr.瑛理産業医を続けながら、この先は労コンも考えています。口述試験って、何を聞かれるのか不安です。



まず試験の形を押さえましょう。そのうえで、自分の担当先の業務やコンサルタントとしての判断や考え方を語れるように準備していきます。
口述試験は15分間。申込から当日までの流れ


保健衛生区分の口述試験は15分間で、労働衛生一般と健康管理が主体です(労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則第14条)。
安全衛生技術試験協会の案内によると、評価は4段階です。上位2ランクが合格で、口述試験の合格者がそのまま最終合格者になります。
受けるのは、その年の筆記試験に合格した人と、筆記試験を全部免除された人です。
令和8年度の日程
| 項目 | 令和8年度(第54回) |
|---|---|
| 筆記試験 | 令和8年10月21日 |
| 筆記全部免除の人の口述の申請 | 令和8年11月1日〜11月15日 |
| 口述試験(大阪) | 令和9年1月13日〜14日の指定された日時 |
| 口述試験(東京) | 令和9年1月26日〜29日の指定された日時 |
| 最終の合格発表 | 令和9年2月下旬の予定 |



15分で合否が決まるんですね。



短い時間なので、聞かれたことに筋道を立てて答える練習をしておきましょう。
筆記は受けるか、免除を使うか。選択肢問題を受ける人が増えた理由


医師は筆記の「労働衛生一般」と「健康管理」を免除にでき、残るのは「労働衛生関係法令」です。私もこの形で、法令の試験を受けて筆記を突破しました。
ただ最近は、免除できる労働衛生一般の選択肢問題も一緒に受ける人が増えています。
法令だけで6割を取るのは意外に難しい
筆記の合格基準は、協会の案内によると総点数のおおむね60%以上で、1科目でも満点の40%未満があると不合格です。
法令は択一の15問です。新出の問題や選択肢が難しい問題もあるので、法令だけで6割以上を狙うと落ちる人も比較的多くいました。
一方、労働衛生一般は択一の30問で、比較的点数が取りやすい科目です。一緒に受ければ、法令で4割を下回らないようにしながら、全体で6割を取る戦い方ができます。全体の中で法令の比率が下がるからです。
筆記は受けると力がつく。早く取りたいなら受ける手もある
筆記の勉強をすると、知識はかなりつきます。その知識量が、口述や実務の担保にもなると感じています。
筆記を全部免除にしたいなら、日本医師会の産業医学講習会や、産業医科大学の産業医学基本講座(ディプロマ)を修了する道があります。



免除があるなら使うものだと思っていました。



免除の細かい条件は、下の記事で確かめてください。自分の勉強時間と、いつ取りたいかで決めましょう。
医師の受験資格と3種類の免除は、こちらにまとめています。


試験官が見ているのは知識量より「現場を説明できるか」


口述試験は、知識の確認というより、もっとシンプルです。私の体感では、試験官は「この人、本当に現場で分かってやってきた?」を見に来ています。
怖いのは、表面だけなぞっている状態です。たとえば担当先のハザードを聞かれて「有機溶剤です」「振動です」と答えるところまでは、言える人が結構います。
でも、次の質問が来ます。
- 何を使っているのか
- どこで、どんな作業で使っているのか
- どんな有害性があって、何を対策しているのか
- それは本当に妥当なのか
ここで「ちょっと分からないです」となると、かなり痛いです。
見られているのは一緒にやっていける人か
試験官にとって口述試験は、この人を労働衛生コンサルタントの仲間にして大丈夫かを見る場だと、私は考えています。要するに、職場診断を任せられる人かです。
- 現場を理解しているか
- 説明の筋が通っているか
- 分からないことをごまかさないか
- 会話として成立するか



暗記だけで乗り切ろうとしていたら、危ないですね。



はい。覚えた言葉の次の一言まで説明できるかを、自分で確かめておきましょう。
落ちやすいのは経験0〜1年。経験の浅さを埋める準備


エビデンスはありませんが、受験する先生たちを見ていると、落ちやすい層には傾向があると感じています。
| 実務の経験 | 私の体感 |
|---|---|
| ゼロ | これからの人として見てもらえる |
| 0〜1年 | いちばんつらい |
| 1年以上 | 年数で足切りされることは基本的に少ない |
経験0〜1年がつらいのは、実務の厚みが出にくい時期だからです。受けてはいけないわけではありませんが、一つの穴が致命傷になりやすいので、準備の方向を外さないことが大切です。
経験を盛らない。見せ方で勝負する
ただ、同じ経験でも見せ方で評価は変わります。「やった」で終わらず、「見て、理解して、考察した」まで言えるかが勝負です。



経験が短くても、話し方の準備はできるんですね。



はい。やったことの量より、一つひとつをどこまで説明できるかを磨いておきましょう。
自分の担当先を語れるようにする。物質名・工程・有害性・対策・妥当性


試験まで日数がないなら、やることは一点です。自分が関わった業務を、現場の言葉で説明できる状態にします。
たとえば「有機溶剤の特殊健診をやりました」だけでは弱いので、次の5つまで落とし込みます。
| 確かめること | 説明する中身 |
|---|---|
| 物質名 | 何を使っているか |
| 工程 | どこで、どんな作業で使っているか |
| 有害性 | どんな健康影響があるか |
| 対策 | 工学的な対策・管理的な対策・保護具 |
| 妥当性 | その対策でよいか。改善するならどこか |
分からないことは担当者に聞きに行く
分からないなら、今からでも衛生管理者や工場の安全衛生担当、現場監督に聞いてください。「この換気はどういう仕組みですか」「局排はどこに付いていて、点検はどうしていますか」といった聞き方で十分です。
「うちはハザードが少なくて」とは言わなくていい
オフィス中心の職場や介護、ITなど、化学物質のリスクが前面に出にくい職場もあります。そのときは「○○業界の△△事業所で、こういう健康課題に取り組んできました」と、そこで何を見て何をやったかを堂々と話しましょう。
設備は根拠の筋道で答える
特定化学物質の話になると、実務の理解が見られます。たとえば第2類物質の多くは、特定化学物質障害予防規則第5条で、発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置のいずれかが求められます。



担当先の設備を、改めて見に行かないといけませんね。



はい。次の巡視を、試験の準備も兼ねた機会にしていきましょう。
職場巡視で何を見るかは、こちらにまとめています。


志望理由と、口述の練習相手の作り方
志望理由も、意外と差がつきます。試験官は毎年同じテンプレートを聞いているので、きれいなだけの答えはほぼ分かってしまいます。
かっこよくなくて構いません。自分の本音を、筋道を立てて語れることが大事です。
- 産業医として現場を見てきたが、職場診断と改善提案をもっと体系立ててやりたい
- 衛生管理の全体像をカバーできる力を身につけたい
- 職場の健康問題を、仕組みで改善できる人になりたい
口述は一人で練習しにくい
口述試験は一人で練習しにくく、フィードバックが欠かせません。声に出して答え、突っ込まれる練習をしておくと、本番の見え方が変わります。
当日の受験者は、昔はベテランの先生が多かったのですが、最近は若い先生も増えています。経験の長さに気おくれせず、自分の現場の話をしましょう。
練習相手を探している先生には、筆者が代表理事を務め、仲間の産業医と共同で運営している一般社団法人プライムエッジがあります。「労コン突破塾プライムエッジ」として口述の練習会を中心に活動していて、公式サイトのお知らせでは登録者が680人を超えています(2026年9月)。



一人で話すしかないと思っていました。



同じ目標の仲間と声に出して練習するのをオススメします。
口述試験のよくある疑問
口述で不合格になったら、次の年は筆記が免除されますか?
されません。協会のよくあるご質問では、次回受験の際の科目免除の制度はないとされています。筆記を受けて合格した人が口述で落ちると、次の年はまた筆記からになります。
筆記が全部免除でも口述はやはり受けなければなりませんか?
受けなければなりません。筆記が全部免除になっても、口述試験は免除になりません。
認定産業医の研修で筆記は免除されますか?
されません。協会の案内には、認定産業医研修会や基礎研修会などの産業医研修は該当せず、認定産業医の認定証は免除資格の書類ではないと書かれています。



落ちたら筆記からやり直しになるんですね。



はい。だからこそ、筆記の合格発表を待たずに口述の準備を進めておくと安心です。
産業医の資格全体や仕事の流れを見直したい先生は、こちらにまとめています。


まとめ
今回は労働衛生コンサルタント口述試験の対策に関して紹介を行いました。
- 口述は15分間で、保健衛生区分は労働衛生一般と健康管理が主体
- 筆記は免除だけでなく、労働衛生一般も受けて全体で6割を取る戦い方がある
- 試験官が見るのは暗記より、現場を説明できるか
- 担当先を物質名・工程・有害性・対策・妥当性の5つで語れるようにする
- 志望理由は自分の言葉で。口述は声に出して練習する



以上、「労働衛生コンサルタント口述試験の対策」についてまとめました。まず自分の担当先を一つ選び、5つの点で説明してみることをオススメします。
資格を活かす案件の探し方は、こちらの記事も参考にしてください。








