【現役産業医解説】紹介会社で産業医の仕事を探すメリット・デメリットは?
こんにちは。産業医のDr.巴です。
今回は産業医の仕事探す上で欠かせない産業医紹介会社経由での案件獲得方法に関して説明を行っていきます。
また、紹介会社を経由して仕事を探すメリットデメリットに関しても紹介をしていきます。
紹介会社を活用することで「1社目の壁」が突破しやすくなるケースも多いです。ぜひ最後まで記事をチェックしていってください。
産業医紹介会社とは?
まずは産業医紹介会社に関して解説を行っていきます。
基礎知識をしっかり身に付けて「ちゃんと自分たちの仕事を知っている先生だな」と思ってもらうことも仕事を紹介してもらう上で有利に働きます。
産業医紹介会社にも種類がある?
産業医紹介会社といってもピンとこない先生もいらっしゃると考えます。
産業医紹介会社にも様々な企業が存在しています。
m3やエムステージなどの医師紹介会社系もあれば、産業医を中心とした産業保健に特化したアベニールやドクタートラストといった専門特化した紹介会社も存在しています。
それぞれ社風や選任のスタイルは違いますが、基本的にはストレスチェックなどの産業保健サービスを中心に産業医の訪問業務を実施していることが多いです。
昨今ではそれぞれの企業が独自の電子産業保健カルテシステム(厳密にはカルテではないですが)を作成したりとよりよいサービスを企業に届けるため努力を続けています。
単純に産業医を紹介するだけの企業ではなく「産業保健をトータルサポートしていく」傾向が強くなってきていますね。
なぜ産業医紹介会社のシェアが伸びているのか?
なぜ産業医紹介会社を利用する企業が増えてきているのでしょうか?
従来は産業医の依頼は医師会・病院・医局などうちうちに流通しネットワークの中で仕事をしていくことが普通でした。
しかしながら、産業医業務に関しての業務比率は決して高くは無かったためいわゆる「名義貸し」産業医として選任されていながらも産業医の業務が実施されないことも多かったそうです。
個人では産業医の采配で仕事が実際に実施されなくなってしまうケースもありますが、法人に依頼をしてしまえば事業体としてトラブル解決に動いてくれるという訳です。
そんな中、産業医業務を実施するために医師を集め事業体が信頼を担保するスタイルが需要とマッチしたためシェアが伸びました。
個人ではなく事業体として産業医業務を請け負ってくれる点は企業としてはとても信頼できるんですね。
産業医も紹介会社経由で仕事を得る時代に
企業が産業医を紹介会社に斡旋してもらうのと同様に、産業医も仲介会社に産業医案件を斡旋してもらうことが増えてきています。
そんな中、産業医の仲介事業者のマッチングシステムがうまく働きました。
「産業医としてのネットワークは無いが産業医をしたいやる気のある医師」と「産業医の業務をキチンとこなしてほしい企業」との引き合わせができる状況が生まれました。
実際に産業医を始めていく先生の多くが産業医紹介会社に登録して仕事を得ています。
私の周囲でも肌感覚として産業医仲介会社を介してのマッチングは極めて多いと感じます。
紹介会社で産業医の仕事を探すメリット
人気が高まっている産業医紹介会社ですがそのメリットに関して解説を行っていきます。
無料でマッチング可能
産業医紹介会社を使う点で最も大きなメリットは「無料で企業とマッチングできる」ことでしょう。
そんな中、産業医紹介会社が力を付けてきたことで旧来の依頼先から産業医紹介会社への乗り換えが発生しています。
産業医を志す先生は産業医紹介に登録しておくことで産業医案件を受託することが可能です。
仕事を探すことは時間的・金銭的負担が発生することはビジネスの世界ではアタリマエです。その点を負担してくれている紹介会社を活用するメリットです。
自身で営業活動をしなくてよい
産業医の仕事には営業やブランディングという側面もあります。
周囲の先生にあの先生はデキる先生だと思っていただければ仕事を振っていただけることもあるでしょう。
弁護士や税理士といったいわゆる士業の先生方に名刺を渡して自己紹介することも立派な営業活動と言えるでしょう。
こういった地道な活動も産業医には必要ですが、紹介会社を利用すればこういった営業活動が無くてもまずは仕事を得ることが可能です。
私は自己PRはあまり得意なタイプではないので名刺を配って回るのはちょっと気後れします。紹介会社を活用するメリットはかなりありそうです。
契約書などの仕事の手続きなどを行ってくれる
産業医の契約は企業との契約になるので契約書は厳密に作成しなければなりません。
多くの企業では産業医を変更することはあまりないため、契約書のフォーマットが無いことも普通です。
多くの医師は契約書を準備してくれと依頼されても困ってしまうでしょう。
こういった事務手続きの煩雑な部分を考えず「産業医としての業務」に集中できることも大きなメリットでしょう。
医師はそもそも雇用契約書も頂かないことが普通ですので、契約書周りは強くない印象ですね。WEB登録をした際にエージェントがヒアリングまで行ってくれたので助かりました。
紹介会社で産業医の仕事を探すデメリット
産業医紹介会社にも当然デメリットはあります。ここではデメリットに関しても解説を行っていきます。
産業医としての自由度は高くない
産業医仲介企業のデメリットとしてよく上げられる点は「産業医としての自由度が高くない」という点です。
紹介会社はかなり規模の大きい事業会社です。
そんな中で、産業医として企業に対して「こんな健康増進施策を実施したい」と自発的に動いた際に「時間が延長するのであればそこまでしなくてよい」と言われてしまうこともあります。
他にも直接企業担当者と連絡を取らせてもらえたら「スムーズに仕事ができるのに」と考えたとしても「全体のルールで紹介会社エージェントを通して連絡をすることになっているからダメです」となってしまうこともあります。
※産業医紹介会社は産業医と担当者が直接連絡をとらずエージェントを介して連絡することが多いです。これは担当者が病院で働く医師と連絡を取る際の労力を抑えることに繋がります。また、産業医と企業が直接つながってしまうことを避ける目的もあります。
紹介会社としても全体としての統制を取っていかなければなりませんので、どうしても個別案件に対して細かく柔軟に動くことができない現実があるのです。
紹介会社は大規模な企業なので小回りに欠けてしまう点はデメリットと言えるでしょう。ストレスを感じる時がある産業の先生と話題になります。
報酬は個人契約と比較して抑えられ傾向
産業医報酬に関しては「個人として産業医と契約する際に比べて下がってしまう」傾向があることは事実です。
最近の紹介会社を見ていると1訪問1時間あたり1.5~3万円が多い相場です。
この報酬は医師のアルバイト報酬相場よりも高い傾向と言えます。
愛知県医師会:嘱託産業医報酬の目安
医師のアルバイトの報酬に比べ紹介会社経由でも高額と言えますが、さらに上があると考えると目指してみたくなりますね。
表に関してはベテラン産業医ではありうる価格ではあります。ただし、経験や経歴は必要になってきますが。まずは一つ一つ仕事をこなしていきましょう。
まずは登録してチャレンジすることがコツ
産業医紹介としてのマッチングとして活用できる点以外にも、無料で産業医案件の流通具合や相場観などを知ることが可能です。
担当者からの信頼を得られれば公募が始まる前に一声かけてもらえることもあるでしょう。
これらのメリットが「登録料や手数料がかからず利用できる」ということは非常に産業医にとって有利です。
繰り返しになっていしまいますが、特に1社目の壁を越えていくレベルから徐々にステップアップしていくレベルでは登録は非常に有益です。
ネットワークができていない、初期段階では紹介会社を活用するメリットは大きいですね。今後、独立していく先生にも情報収集としても有用でしょう。
まとめ
今回は紹介会社に関する基本情報とメリット・デメリットに関して説明を行ってきました。
産業医紹介会社は何と言ってもその手軽さです。臨床医との兼業や産業医をこれから始める先生にとっては非常に有用な存在です。
一方で、事業体としての規模が大きいため産業医としての自由度は低下している部分もあります。
さらなるステップアップをと考えるようになり始めたら、他の仕事の探し方も模索し始めてもいいかもしれません。
当サイトでは基礎的な部分からさらに一歩ステップアップした部分もベテラン産業医が解説をしていきます。引き続きチェックをよろしくお願いします。