【現役医師解説】産業医1社目の壁って何?どう突破する?方法は?

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【現役医師解説】産業医1社目の壁って何?どう突破する?方法は?

こんにちは。Dr.巴です。

今回は産業医を始める際に多くの先生がぶつかる「1社目の壁」に関して詳しく解説を行っていきます。

資格を取った後に「さあ、産業医を始めるぞ」と考えてもすぐに仕事にありつけるとはかぎりません。

本記事は産業医をこれからはじめるあなたに産業医を始めるにあたって立ちふさがる「1社目の壁」を突破していただくために書きました。ぜひ最後までチェックしてみてください。

産業医1社目の壁とは何?

産業医は1社目がなかなか決まりづらい

産業医に関して調べると「産業医1社目の壁」という言葉を目にすることがしばしばあります。

産業医1社目の壁とは産業医を始める際に「1社目がなかなか決まらない」現象を指した言葉です。

確かに産業医1社目の仕事は決まりにくいものです。様々な試行錯誤の上やっと初仕事となったという先生もしばしばみかけます。中には30社面談をして初めて仕事が決まったという先生もいらっしゃいます。

講習を受けて資格を取っていきたいものの産業としての仕事がなかったら不安だなと感じる先生も見えるのではないでしょうか?

実際、産業医の資格を取得したはいいもののなかなか仕事に繋がることがなく持て余している先生もいらっしゃると思います。

Dr.巴

産業医として仕事を見つけることはハードルとして低くはありません。けれど、しっかりと対策を行えばちゃんと仕事を始めることができるでしょう。

なぜ1社目の壁が発生するのか

なぜ産業医には1社目の壁が存在するのでしょうか?

これは企業が産業医を選任する際に産業医の経験者を優遇し採用することが主な原因です。

産業医の選任は法律で定められており、嘱託産業医であれば50~999人では1人以上選任することになっています。

1人以上とはなっていますが、基本的には産業医を選任することは多くのケースでは1事業所あたり1名が多いです。

健康投資という考え方もありますが、病院と違い医師は「お金を稼いでこない間接部門」です。コスト的な面から最低限の選任となることが現実的です。

そんな中、企業側としては一人選任するなら「産業医として経験を持っている医師がいい」と経験者を選ぶのです。

この点に関しては企業からすると当たり前の判断ではありますが、これから産業医を目指す医師にとってはハードルとなってくることは事実です。

Dr.瑛理

「産業医になるためには産業医としての経験がなければいけない」のは困った問題ですね。

Dr.巴

1社目を超えてしまえば安定して仕事を得ることができる医師が増えていく印象です。

1社目の壁を超えるためのマインドセット

そんなハードルとなってくる1社目の壁ですが、突破しないことには始まりません。ここでは1社目の壁を乗り越えるためのマインドセットから実務的な面に関してまとめてみました。

マインドセットを産業医にしていく

産業医としての仕事を得るためには企業との面談が必須です。当直、コンタクト、健診とは異なり医師免許や医師としての最低限のスキルだけもっていれば「ぜひ来てください」となるいわゆる医師バイトとはことなる点に注意しましょう。

さらに、有名病院に勤めていた経験・専門医・学位を持っていても企業で評価されるというかというと「企業はあまり気にしていない」という点を意識しておきましょう。

「気にしていない」というよりも「よく知らない」ということが現実です。人気有名病院も地域の療養型病院も普段から意識している方でなければわからないことが多いです。

面談で先生方の華々しい経歴を披露したとしても面接担当者からは評価されないことが多いです。(もちろんコネクションを経由した面談では役に立ちます。)

大切なことは産業医としてあなたが企業に何ができるか?をしっかりと理解し提示をしていくことです。

職場で何が課題になっており、自分自身がどのような改善を行っていくことが可能だろうか?そういったマインドセットを持つことが産業医採用面談では重要です。

Dr.巴

企業により職場の課題は様々です。相手の利益を最大化するマインドセットを持ちましょう。

企業側の立場の目線を持つ

産業医の採用面談では企業側の目線を持つことが大切です。企業のパートナーとなって企業の課題解決を目指していくためです。

面談時に企業側に「御社の課題点は何ですか」などタイミングがあるようでしたらヒアリングしてみることも手でしょう。もちろん、無理やり質問をすることはNGです。様子を見ながら聞いてみることを意識してみましょう。

そして、自分ができる対応などをピーアールするといい印象を持ってくれる企業も少なくありません。

もちろん反対に評価が下がる企業もあります。しかしながら、すべての企業があなたと相性がいいわけではありませんので大丈夫です。

法令通りに採用されて言われるがままに仕事をすることも大切ですが「自分を採用することで企業にとってメリットがある」「この人と仕事をしたら面白そうだ」と考えてもらえるようにすることが大切です。

Dr.巴

私は面談や商談を行う際には職場の改善提案をその場で行って役に立てる準備があることを意識させるようにしています。

経歴vs人柄どっちが大切?

「産業医として経歴と人柄どちらが大切ですか?」と産業医をこれから始めていく先生にきかれることがあります。

結論からいうと「経歴も人柄もどちらも大切」です。

それぞれ採用のステップで必要とされる情報が異なります。

例えば経歴は書類選考の際に重視される傾向が強いです。

履歴書や職務経歴書として企業側に何名か提示されその中から、この先生と面談をしてみたいとピックアップされ選考面談に進みます。

この際、産業医の経験が豊富であったり、大学のネームバリューが高いほうが当然ですが評価としては高くなります。最近ではメンタル不調者を気にして精神科専門医を採用を希望する企業も増えてきています。

1社も産業医経験がない場合はこの点がネックになってくることが多いです。

一方で、面談に関しては人柄が重視される傾向が強いです。すでに書類選考を通ってきていますので、あとは人柄をチェックしていくといった具合です。

面談まで行けている先生は書類選考は突破していると考え、産業医のマインドセット・相手思考をしっかりと意識して面談に臨んでいただければ幸いです。

Dr.瑛理

産業医採用には経歴・人柄どちらも求めらるようになってきているようです。しっかりと対策を練って1社目の壁を越えていきたいです。

1社目の壁を超える実務的対応

ここまでは産業医1社目の壁を超えるためのマインドセットに関して紹介をしてきました。ここでは1社目の壁を超えるための実務的な対策を紹介していきます。

プロフィールや自己紹介は磨き上げる

産業医として活動をする際、実はプロフィールや自己紹介は非常に大切になってきます。

企業側は思っている以上にプロフィールや自己紹介を見てくれています。

書かなくてもいい部分だからと適当に書いているともったいない部分です。作りこみが少ない医師も少なくないため作ってあると目を引きます。

プロフィールには産業医の人柄が表れやすいです。学歴と資格だけでは伝わらない部分の差別化につながりますね。

自由記入欄は資格・学歴・賞罰以上にしっかりと練りこんでいくと効果が大きく出る企業もあります。

Dr.瑛理

違いが出やすいぶぶんだからこそしっかり作りこむことが大切なんですね。

面談対策をしっかりと行う

面談の対策をしっかりと準備しておくことも産業医の面談には大切です。

企業の採用担当者は「人を面談する採用のプロ」といったケースも多いです。

通常のエージェントの面談とは相手の熱量が違うと再認識しておきましょう。

想定問答で何を聞かれるか?産業医として不適切な発言はしていないか?従業員によりすぎた回答ではないか?常に自省をしながら連取をするといいでしょう。

特に1社目の場合産業医に関して解像度が低い場合も多く、企業からすると変な回答をしている場合もあります。可能であれば経験者の先生に練習面談をしてもらうとより効果的です。

Dr.巴

経験者の先生に想定面談をしてもらうことで自分の回答が変な方向に行っていないか確認することが大切です。Xやコミュニティなどの活用もおススメです。

紹介会社には多めに登録

紹介会社は多めに登録しておきましょう。

多めに登録することで応募の試行回数が稼げます。

企業も担当者は人ですので、数をこなすことで「この先生がいいな」と思ってくれる方に出会う可能性を高めることが可能です。

また、産業医未経験者ですと書類選考ではじかれるケースもあるため、いくつか募集に申し込むことで面談に行くことができる数を増やす効果も期待できるでしょう。

さらに、面談の場数を踏むことで面談自体になれることができるので回答の練度を上げていくことができます。場慣れしていれば担当者も「自信がありそうで落ち着ている先生だな」と評価が高まることもあります。

Dr.巴

ただし、申し込みすぎでキャパオーバーになることは紹介会社や企業の信頼を失うことにもつながるので対応できる範囲でも申し込みをしましょう。

産業医案件の探し方を変えてみるのもアリ

ここでは紹介会社以外に1社目の壁を超える方法を紹介していきます。それぞれ特有の難しさはありますが、うまくチャンスをつかめれば一気に超えることが可能です。

医局や病院経由で仕事を探す

医局や病院経由で産業医の仕事を得ることも可能です。

医局や病院から指名を受けて仕事をいただければ、競争的な選考は起こりません。

「XXX大学から来ていただいた先生」「yyy病院で活躍する医師」として迎え入れられるでしょう。

ただし、産業医案件はベテランの先生の仕事として扱われているケースも多いです。チャンスがあれば積極的に受けてみましょう。

Dr.瑛理

普段から産業医業務に関わりたいと伝えておくことも大切ですね。

知人関係で仕事をもらう

知人に仕事を紹介してもらうことも1社目の壁を超える際に役立ちます。

こちらのケースも病院などとどうように指名で依頼を受けることが多いでしょう。

話があれば「ぜひ任せてください」と自信を持って仕事を受けてみるとよいでしょう。「実は未経験で、、、」と話してしまうと相手も躊躇してしまします。信頼して声をかけていただいたのでしっかり活躍していきましょう。

このケースの場合は産業医契約書などを自分で作成する場合もあります。司法書士や弁護士と連携して段取りをしていくことも大切でしょう。

名刺を配って営業活動

産業医として自分自身の名前を売っていくことも仕事に繋がります。

いきなり飛び込み営業やマーケティングというのは当然難しいです。

まずは自分自身の産業医としての名刺を作成しましょう。そして、人に会った際や異業種交流会などで名刺交換をしていきましょう。

名刺を配っておけば産業医としての仕事を依頼したいと相談を受けることがあります。こういった活動も1社目の壁を超えることに繋がります。

Dr.巴

医師が名刺を作るケースは病院ではあまりありませんが、外の社会では名刺がないと誰かわかりません。そして、仕事を依頼したくても後から連絡がとれません。

まとめ

今回は1社目の壁とは何かについて解説を行ってきました。

1社目の壁を超えるためには様々な方法があります。どれも今まで病院のみで働いてきた先生にはなかなかとっつきづらいかもしれません。

とはいえ、やっているうちにこういった方法には慣れてくるものです。まずは練習だと思って面談をたくさん受けてみましょう。もちろん反省とフィードバックは大切です。

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この記事を書いた人

医局での多忙な業務を行う中で自分の時間を確保する生活スタイルを確立するために産業医に転向。コネクション無し、業務経験無しの状況から産業医業務を開始。多数の事業所を経験した後、現在は産業医事務所を設立している。
資格:日本医師会認定産業医/医学博士/労働衛生コンサルタント(保健衛生)

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