臨床医と産業医を掛け持ちで両立は可能?マインドの違いも解説

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臨床医と産業医を掛け持ちで両立は可能?マインドの違いも解説

こんにちは。Dr.巴です。

今回はよく質問を受ける「臨床医と産業医の掛け持ちは可能ですか?」という質問に答えていきます。

結論としては全く問題ありません。

今回はその理由と臨床医との兼任におけるメリット・デメリットに関して解説を行っていきます。

また覚えておきたい産業医と臨床医の違いに関しても解説を行います。

臨床医の先生の産業医の業務に興味のある方はぜひチェックしてください。

Dr.巴

臨床医をしながら、産業医として働くことは相乗効果でどちらの職場でも役に立つと考えます。

産業医と臨床医の兼任が可能なケース

産業医と臨床医の兼任が可能なケース

嘱託産業医は可能

嘱託産業医と臨床医の業務の兼任は可能です。

嘱託産業医を行う多くのケースでは病院やクリニックに務める先生が、地域からの依頼を受けて産業医業務に臨むことがほとんどです。

内科や精神科等自身の専門性を応用しながら業務に当たる先生もいらっしゃいます。(もちろん専門性に限らずあらゆる事例に対応する必要はありますが。)

Dr.巴

地域の開業医の先生が地域の産業医業務を担ってきた歴史があります。

専属産業も可能

専属産業医に関しても臨床医との兼任が可能です。

専属産業医を週3日、臨床医を外来で週2日業務を行うことも非常に多いです。

企業にとっても医師が臨床医としての能力が低下することは懸念している背景もあるため、外勤を認めることが多いです。

一方で、専属産業医と嘱託産業医の兼任に関しては基本的には禁じられていますのでその点は留意してください。

Dr.巴

専属産業医は臨床医の兼任OKですが、嘱託産業医との兼任はNGです。

産業医と臨床医のマインドセットの違い

産業医と臨床医のマインドセットの違い

臨床医と産業医では求められる、マインドセットが異なります。マインドセットを意識して切り替えなければ産業医としての業務に支障が現れるケースが多いです。

別記事で詳しく紹介しますが、ここではマインドセットに関して簡単に触れておきます。

臨床医は患者さんの生命・治療がファースト

臨床医は当然ですが、患者さんの命を救うために最善の行動をとっていきます。

もちろん社会的背景を考慮する場合もありますが、基本的には救命が最優先です。

これは医師のふるまいとして当然のことですが、実は産業医の業界では異なるのです。

Dr.瑛理

産業医と臨床でマインドセットが異なるのですね。

産業医は病気の従業員だけでなく会社の状況も考慮

産業医は企業に雇われ職場の衛生管理を受け持つ医師です。

一方で、産業医は従業員に対して全力でコミットをするわけではありません。

病気で仕事が仕事によって体調に問題が出ないか?という点が大切です。体調不良が予見される従業員がいかにして働くことができるかという点に関してサポートは当然行います。

一方で、会社が訴えらえてたりするようなリスクを抱える場合は就業制限やドクターストップをかけるような対応を行います。産業医にとっては会社の支援を行うことも大切な業務なのです。

もちろん病気を持った従業員のサポートや予防医学の実践という側面はありますが、優先すべきは企業のリスク管理の実践です。

Dr.巴

この辺りの産業医としての考え方はしっかりと押さえた上で従業員をサポートすることが大切ですね。

求められる中立性・独立性とは?

上記のような職場環境と従業員のサポートの間で働くのが産業医ですので相応の職業倫理は必要です。

この時によく産業医が使う言葉は「産業医の中立性と独立性」です。

産業医は常にこの言葉を意識しながら業務に当たらなければなりません。

会社側の都合よく動いてしまっては従業員に不利益が生まれてしまいます。

一方で、従業員によりすぎてしまっていてもクライアントである事業者に対して誠実であるとは言えません。場合によっては健康障害を発生させたということで事業者の責任が問われてしまう可能性があるからです。

Dr.巴

産業医は医師として病気と闘うと同時に、会社を守る存在でもあるのです。

Dr.瑛理

臨床医としての立ち振る舞いだけでは企業にリスクを与えてしまうんですね。

兼任のメリット・デメリット

産業医と臨床医を兼任することでメリットとデメリットはあるのでしょうか?ここでは現役の産業医が考えるポイントを紹介していきます。

産業医と臨床医兼任のメリット

産業医と臨床医の兼任の最大のメリットは臨床経験で培った知識や判断能力がそのまま活かせることでしょう。

病気や治療の生の知識を持った医師が職場で活躍するのは何にも代えられない貴重なポイントです。

事業者や従業員としても頼りになる先生が訪問していただければこころ強いでしょう。

さらに、医師として病院での勤務だけを行っているとどうしても世界観が狭くなってしまいます。往診などで患者さんの家で診療を行ったとしても社会との触れ合いとしては乏しいです。

産業医として企業に訪問することで「世の中では実際にこのように人々が働いているんだ」という単純ですが気づきがあると思います。この経験を臨床現場に持っていくことでさらに診療の深みがでてくるのではと考えます。

Dr.瑛理

産業医を経験して視野が広がったという医局の先輩がいらっしゃいました。

産業医と臨床医兼任のデメリット

臨床医が産業の現場に出てきた際のデメリットはやはり社会でのコミュニケーションスキルが問題になるケースが多いです。

一般的にはメールの送り方、名刺の渡し方、立ち振る舞いなどが問題になるケースが多いようです。

病院では医師は指揮命令系統のトップで働いていますが、企業ではまた別の指揮命令系統があり産業医は決してトップではありません。病院と同じような立ち振る舞いをしていて企業との関係性に傷が入ってしまうことはしばしばあるようです。

この点も別記事で詳しく紹介していきますので、産業医としての立ち振る舞いも意識してみてください。(立ち振る舞いが悪いと産業医案件で採用も難しいこともアリ。)

Dr.巴

医師としての立ち振る舞いではなく、社会人としての動きが求められます。採用や契約更新にも大切ですので注意していきましょう。

まとめ

産業医と臨床医の兼務に関しては専属・嘱託ともに禁じられてはいません。

臨床医が産業医として業務に当たることで多くのメリットがあります。

産業医としての経験を臨床に持ち帰り診療に役立てている先生も多いです。

しかしながら、立ち振る舞いや行動指針など臨床医としてのマインドセットだけでは産業医業務が難しい場合もありますので、しっかりと学びながら両立を目指すのも手でしょう。

本サイトではこのような情報をさらに深掘りしていきますので、引き続きチェックをお願いいたします。

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この記事を書いた人

医局での多忙な業務を行う中で自分の時間を確保する生活スタイルを確立するために産業医に転向。コネクション無し、業務経験無しの状況から産業医業務を開始。多数の事業所を経験した後、現在は産業医事務所を設立している。
資格:日本医師会認定産業医/医学博士/労働衛生コンサルタント(保健衛生)

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