産業医って食べていけるの?報酬や年収に関して解説します

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こんにちは。Dr.巴です。

今回はよく臨床医の先生に質問される「産業医って食べていけるの?」という質問に回答していこうと考えます。

結論としては「食べていける、ただしやり方による」です。

今回も独立系産業医がしっかりと解説していきますのでよろしくお願いします。

Dr.巴

産業医の報酬は臨床医以上にバラバラなイメージです。相場観は先生によって異なりますが、データを見ながら考えていきましょう。

目次

専属産業医と嘱託産業医で異なる報酬体系

産業医の報酬を考える際は専属産業医と嘱託産業医に分ける必要があります。

この2つの仕事の仕事自体は共通する部分が多いですが、契約方法が大きくことなります。

安定型の専属産業医・働けば働くほど報酬が上がる嘱託産業医といった特徴があります。

違いを知っておくことが産業医の報酬を理解する上で非常に大切です。

専属産業医の給料・報酬は?

働き方は基本的には正社員

まずは専属産業医の給与体系に関して説明を行っていきます。

専属産業医の働き方はいわゆる正社員としての働き方が一般的です。

なかには嘱託社員(嘱託産業医とは異なります。)として雇われることもありますが、働き方としては正社員です。

社員として業務に当たりますので「給料」として賃金が支給されます。

給料の考え方は?

専属産業医の給料体系で大切なことは来社日数×報酬のイメージが大切です。

たとえば専属産業医と言えども週3日~週5日と勤務日数はバラバラです。

当然週3日の先生と週5日の先生では給料の額が大きく異なります。

報酬に関しては企業によって異なりますが、通常の紹介会社経由でオープンに募集されるものであれば800万円~1400万円のレンジが一般的です。

イメージとしては週1日当たり年収200~250万円程度で考えておくとよいでしょう。

統括産業医など全社の産業医の指導的な立場になれば報酬はさらに増えることもあります。

Dr.巴

もちろん企業規模や会社の方針によりますのでその点はご承知おきください。

紹介会社経由では業務委託として受注することも

最近の専属産業医事情として紹介会社の業務委託として専属産業医を受注するケースが出てきています。

紹介会社から出向のような形での専属産業医となります。

個人的には「それって専属医なのか?」という疑問があるところです。

専属医という会社にしっかりとコミットできる立場が経験者としては重要だと考えています。

コミット感が減ってしまうことは産業医としての学びが減ってしまうのではないかと懸念をしています。

報酬に関しては紹介会社次第です。契約内容に関してしっかりと読み込んだうえで契約をしましょう。

臨床との併用で年収アップ

専属産業医は嘱託産業医を兼務することはできません。

一方で、専属産業医は臨床医としての業務を行うことが可能です。

もちろん副業禁止の会社もありますが、医師としての能力の維持という説明で許可されるケースが多いです。

週3日の専属産業医+週2日の臨床業務+週1日の当直業務などうまく調整すると年収はグッと増えていきます。

実際にこの形式で働いている先生も少なくないようで、医師・産業医としてやりがいを両立していくことも可能です。

Dr.巴

専属医だけでも十分食べていけますが、臨床業務を並行するとさらに盤石になりますね。

Dr.瑛理

安定志向でしっかりと腰を落ち着けて仕事がしたい私は専属産業医が向いているかもしれません。

嘱託産業医の給与・報酬は?

働き方は非常勤医師

嘱託産業医の働き方に関してチェックしていきましょう。

嘱託産業医は基本的には非常勤医師としての業務となります。

ですので臨床医の先生でいう「アルバイト」という働き方に近いかもしれません。専門性はさておき非常勤としての報酬を受け取ります。

一方で、産業医の働き方は「顧問医師」としての側面も強いです。

訪問時以外で相談を受けることもありますので、そういった対応料も報酬に含まれると考えてください。

(回数を決めてそれ以上の対応は追加対応にする先生もいらっしゃいます。)

Dr.巴

この点は時間単位で契約を行う、紹介会社経由での嘱託産業医受注とはイメージが異なるのです。

個人で仕事を受注する場合は給与払い

「産業医の報酬は事業所得になりますか?」と質問をされることが多いです。

この質問への回答は「基本的には給与払いです」と回答をすることにしています。

弁護士や社労士のような業務だから業務委託ではないか?といわれることもありますが、これには根拠があるのです。

国税庁:産業医の報酬

上記に引用したように個人で受注を行った場合、産業医の報酬は原則給与となります。

もちろん原則ですので、労働衛生コンサルタントの資格と併せて事業所得として処理を行っている先生もいらっしゃるようです。

そのような処理をする際は、きちんと税理士の先生との協議の上で脱税にならないように注意をしましょう。

Dr.巴

個人的には個人での事業所得処理は現行の解釈ではリスクだと考えています。

実際にはどのくらいもらえるの?

嘱託産業医の報酬はまさにバラバラです。

主に企業規模・人数・訪問時間・訪問回数によって設定されることが普通です。

紹介会社経由であれば1時間当たり1.5万円~3万円ほどの報酬になることが多いです。
個人で仕事を受注する場合は1時間あたり3万円~10万円となることが多いと感じます。

一方で、嘱託産業医の報酬には保険診療などと異なり上限が無い点もポイントです。

企業規模が大きい企業でしっかりと価値提供ができる先生であれば月の顧問料金が20万円を超えることもあるようです。

愛知県医師会:産業医報酬の目安

日本橋医師会:産業医報酬基準額について

北海道産業医協議会:嘱託産業医標準料金表

参考に医師会系の産業医報酬をいくつか提示しておきます。

これらの月額報酬には時間・日数の明示はありませんので過不足ない範囲でという意味だと解釈しています。

ただし、嘱託産業医に関しては個人で受注する場合は「顧問料金」としての依頼が多く、月間を通してサポートを行うよというイメージです。

決して「コスパ」がよい仕事ではないことは留意しておくべきです。

Dr.瑛理

色々なデータによってずいぶんと開きがあるのですね。驚きました。

Dr.巴

報酬を上げていくのであれば個人受注が必要です。一方で、紹介会社の営業力が高く難易度が高くなっていることも事実です。

嘱託産業医は食べていける?

嘱託産業医はちゃんと食べていける仕事として成り立ちます。

午前と午後に1コマ3万円で仕事を受注した場合は日の報酬は6万円です。

土日は企業はやっていないことが多いため、平日20日あるとすると月の報酬120万円となります。年換算では1440万円程となります。

もちろん、すべての日にちに仕事を入れてしまうと、企業の日程変更に対応できなくなるため多少の空きコマは残しておく必要があります。

報酬が上がった際はさらに報酬の底上げも可能かと考えます。

Dr.巴

嘱託産業医+臨床外来なども可能なので上手に自分の働き方をコーディネイトすることも大切ですね。

まとめ

今回は「産業医は食べていけるか?」という問題に関して解説を行ってきました。

安定の専属産業医と組み合わせ次第ではしっかりと報酬を確保できる嘱託産業医があることが分かったのではないでしょうか?

ただし、嘱託産業医として報酬はいきなり高いわけではありません。まずは紹介会社などで下積みを行ったうえで徐々に独り立ちしていく必要があります。

産業医塾「StepUp」では法人開設のメリットなどの詳しい話をクローズドなチャットや教材でしっかりと解説を行っておりますので、チェックいただければ幸いです。

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この記事を書いた人

医局での多忙な業務を行う中で自分の時間を確保する生活スタイルを確立するために産業医に転向。コネクション無し、業務経験無しの状況から産業医業務を開始。多数の事業所を経験した後、現在は産業医事務所を設立している。
資格:日本医師会認定産業医/医学博士/労働衛生コンサルタント(保健衛生)

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